「逆説のスタートアップ思考」は反直感的な教訓にあふれていた
何度も言いますが、大学の図書館最高!笑
相変わらず大学で本を借りまくっております。
最近、読んだ本のうちの1つが馬田隆明さんの「逆説のスタートアップ思考」です。
この本はどこかの企業の経営者さんがオススメしていた本で、調べてみるとやっぱり大学の図書館にあったので借りました。
さすがオススメされているだけあって、とても面白い本で「読み終わったら、この内容をまとめてブログに書こう!」と思いながら読み進めていました。
そして、まさかのブログに書く前に返却してしまうという。。。
というわけで覚えている範囲で面白かった点、納得した点についてまとめたいと思います。
スタートアップが成功するためには反直感的なアイデアに従うことが大切
まず本の冒頭で「スタートアップ」という言葉の定義を説明されています。
既に確立された市場で安定、確実な成長を目指すスモールビジネスとは異なり、スタートアップとは「不確実性の高い市場の中、短期間で急成長を狙う」点が特徴であると。
そうなったときにスタートアップはスモールビジネスとは異なる手法、戦略を取るべきなのは当然です。
馬場さん曰く、スタートアップの成功にはスタートアップに適した思考が必要であるそう。
それがタイトルにある「逆説のスタートアップ思考」
なぜ「逆説」なのかというと、スタートアップが取るべき戦略には『本当は正しいのだが、直感的には間違っているように感じるもの』が多いからだそうです。
例えば事業アイデア。
本来、企業などが新規事業を立ち上げる際には出来るだけ成功率の高い市場で企画、ビジネスモデルを固めて実行するというのが普通です。
しかし、それは大手企業などのリソースが十分にある前提で取れる戦略です。
なぜなら成功率の高い市場とはある程度確率された市場であるため、既に大企業がひしめき合っています。
そういった市場に挑んでも価格競争などにもつれこめば、資金が少ないスタートアップには勝ち目はありません。
よって、スタートアップが事業アイデアを考える時に気をつけるべきことは
『市場が確立されておらず、不確実性が高い、もしくは誰もやりたがらないところで勝負すること』
が一見成功率が低そうに見えて、最も成長する可能性が高いということが言えるそうです。
これはまさに「逆説のスタートアップ思考」らしい考え方でスタートアップは資金も時間もないため、出来るだけ早く成功しようとして成功確率が高そうなところに飛び込んでしまいがちです。
しかし、今まで大きく成長したスタートアップの多くはその逆を行きました。
例として挙げられていたのがAirbnb。
Airbnbは創業する際、「他人に自分の家のスペースを貸し出す」という事業内容を投資家に説明すると「誰がわざわざそんなことをするんだ?」や「クレイジーすぎる。」と出資を断られ続けたそう。
ただそんな「クレイジー」なアイデアだったからこそ、大企業は参入してくるはずもなく地道にユーザ獲得に奮闘して、世間に価値が認められてからは短期間で急速な成長を果たしました。
ビルゲイツは
「自分が出したアイデアを少なくとも1回は人に笑われるようでなければ、独創的な発想をしているとは言い難い」
と言っていました。成功するスタートアップにはまさにこの考え方が必要なようです。
そして、事業アイデア以外で興味深かったのは「最初はスケールしないことをする」という点。
やはりスケールに関しても、余裕のないスタートアップにとっては出来るだけ早く規模を拡大しようとしてしまいます。
しかし、これは長期的に見ると失敗を招く考え方だそうです。
それでは「スケールしないこと」とは具体的にどういうことかと言うと、初期フェーズでは創業メンバーだけで全ての業務を行うべきとのこと。
これはなぜなら、いきなりスペシャリストを雇って任せるのではなく、創業者自身が全ての業務を行うことでその事業のプロセスや発生する問題について深く理解することが出来るからだそうです。
あるレストランのメニューを自宅に届けるというフードデリバリーサービスを展開し、成功したスタートアップがあります。
従来、そのようなサービスを持つスタートアップを始めるとするとまずデリバリー元のレストランをいくつか確保し、注文用のウェブサイトを作り、デリバリーシステムを作り上げてからお客さんを待ちます。
ただそのスタートアップが最初にしたことは近所の1つのレストランのメニューと自分たちの電話番号のみを公開しただけでした。
しかし、実際にお客さんの注文が数件入りニーズがあることを確かめると、彼らはそれからしばらくは自分たちでレストランに出向き、注文されたメニューを自宅へと届けていたそうです。
そんな「スケールしないこと」をした結果、創業メンバーが自ら全ての業務を行う中で必要なプロセスを理解し、逆に事業拡大時には効率的なスケールを達成したそうです。
今後スケールしていく上で必要なことを学ぶという目的において、非効率に思えますが創業者が初期に全ての業務に関わるメリットは大きいというわけです。
また、「スケールしないこと」は業務のことだけではなく、顧客とのコミュニケーションも同じです。
ある企業では創業者自らが初期の顧客に対して、一人一人感謝の手紙で贈っていたそうです。これも経営的にはとても非効率に思えますが、これによって初期の顧客が離れることなく、安定したユーザ数を保つことが出来たとか。
他にもたくさんの反直感的な学びが多く得られた本書ですが、最後に語られていた言葉が個人的には最も強く響きました。
「スタートアップを始めるために何か事前に知識がなかったとしても問題ない。逆説的ではあるが、スタートアップのやり方を学ぶ一番の方法はスタートアップを始めてみることだ」
これは起業に限らず、全てのことに言えますよね。準備の時間はムダだ。さっさとやれと。。。